
- 介護アロママスターインストラクター
佐藤綾子さん
もやもやした気持ちを抱えながら仕事を続けていた
検診センターで働く中、職員は毎日80~100人の来院者の流れを管理しながら業務を進めていました。そのため、どうしても一人ひとりに十分寄り添うことが出来ませんでした。
例えば、検査の間、年齢を重ねて動きが遅くなった方のペースに全てを合わせることは難しく、ご家族で来院していても一緒に食事をしていただくことが難しいことがよくありました。
また、来院者が話したいことがたくさんあっても、ゆっくり聞いてあげられないこともありました。
こうした状況が毎日積み重なり、忙しさとやりきれなさが心に引っかかり、もやもやした気持を抱えながら仕事を続けていました。
「教える」という新たなステージに進むことになった
退職後、アロマの世界に飛び込み、アロマセラピストの資格を取得しました。
寄り添うケアがしたくて始めた仕事でしたが、勤務したサロンでは回転率を優先し思い描いていたような環境ではありませんでした。施術はもちろん、心に寄り添いながらケアをしたいとずっと考えていました。
そんな時、原三智子先生と出会い「教える」という新たなステージに進むことになりました。
施術だけでは体力や年齢の制約が出てくることもありますが、教える立場であれば、経験を伝えながら体が思うように動かなくなっても、年齢を重ねても好きな仕事を続けられると感じています。
生徒さんの表情が一変する瞬間に出会える
学んだ技術を80歳を超え、体重30㎏台の自分の親に施術する際には、授業で学んだ圧とは全く違い、思った以上にソフトなタッチが必要だと感じました。より優しく触れなければならず、理論と現実のギャップを痛感しました。
また、教える中で気づいたことは質問されることで自分が講師であることを実感し、理解が曖昧だとスムーズに答えられないということでした。「わかったつもり」では通用せず、自分の理解度にも気づかされます。
生徒さんは最初、緊張して「覚えられない」「できません」と言われますが、少しずつ圧のかけ方などがわかってくると、生徒さんの手から伝わる緊張感や力の加減が変わるのを強く感じることができ、生徒さんの表情が明るく一変する瞬間に出会える喜びを感じることができます。
高齢者から障がい者、施設の子供たちまで。あらゆる人の心を解きほぐす手助けをしたい
施設へのアプローチは簡単ではありませんが、介護アロマには大きな力があります。入居者の不穏を和らげ、職員の負担を減らし、本来の仕事に集中できる環境をつくることができます。
高齢者だけでなく、周りの人々にも良い影響をもたらします。
私はそれを、障がいのある方や闘病中の子供たち、施設の子供たち、そして里親家庭の子供たちにも届けたいと思っています。
傷つき疲れ、時には反発する子供たちの心にアロマを通して寄り添い、少しでも力になりたい。
高齢者から障がい者、施設の子供たちまで。あらゆる人の心を解きほぐす手助けをしたいーそれが私の目指す活動です。



