• 介護アロママスターインストラクター
  • 障がい者向けタッチングアドバイザー

川口歩さん

介護する人にも、癒しが必要。アロマでつなぐ、家族と未来

30年前、アロマセラピストの資格を取得しました。
しかし、本格的にアロマと向き合うことになったのは、長男の重度障害がきっかけでした。家族の暮らしの中で、心を落ち着かせたり、そっと寄り添ったりする方法として、再びアロマを取り入れるようになりました。

さらに、母が認知症、父がALS(筋萎縮性側索硬化症)と診断され、介護と子育て、自分自身の心身のケアを両立する日々が始まりました。

「家族を支えながら、自分自身も元気でいるにはどうしたらいいのだろう。」

その答えを探す中で出会ったのが、介護アロマとタッチングでした。

父を看取った後、「この経験を必要としている人に届けたい」という想いが強くなり、介護アロマ講師の資格を取得しました。

50代半ばでも、夢は描ける

講師コースを受講する前は、不安がありました。

専業主婦から新しい一歩を踏み出すこと、自分にできるのかという迷いもありました。

けれど、授業が始まると、その不安は少しずつ消えていきました。

特に印象に残っているのが、「ビジネススタディ」です。

自分自身と向き合う時間を重ねることで、「私は何をしたいのか」「何を社会に残したいのか」がはっきりと見えてきました。

同期の仲間や先生の温かい支えも大きな力となり、「50代半ばからでも、新しい挑戦はできる。」
そう心から思えるようになりました。

実は、講座の中で私は宣言しました。

「私は、将来必ず施設を建てます。」

その言葉は、今も私自身の大切な約束です。

目指すのは、「家族が離れ離れにならない場所」

私には、大きな夢があります。

障害者施設と高齢者施設が同じ敷地内にあり、親子が離れ離れにならずに過ごせる場所をつくることです。

障害のある子どもを持つ親が元気なうちに安心して子どもを預け、週末には家族でゆっくりと過ごす。

認知症の方、高齢者、障害のある方、赤ちゃんや子育て中のお母さん。

世代や障害の有無を超えて、誰もが自然に集える「サードプレイス」をつくりたいと考えています。

そして、私の住む長崎に介護アロマの仲間を増やし、「介護は大変なもの」というイメージを、

「介護にも、癒しや笑顔の時間がある」

という新しい価値観へ変えていきたいと思っています。

現場を知るからこそ、伝えたいこと

家族介護を経験する中で、制度だけでは支えきれない現実を数多く見てきました。

介護や障害福祉の制度があっても、実際には家族の経済的・精神的負担は大きく、介護保険では補えない費用や医療費の負担に悩む方も少なくありません。

介護休業制度も、現場で暮らす家族にとって十分とは言えない場面があります。

だからこそ私は、制度を待つだけではなく、人と人とのつながりや地域の支え合いが大切だと感じています。

アロマやタッチングは、病気を治すものではありません。

でも、張りつめた心を少しゆるめたり、言葉にならない想いを手のぬくもりで伝えたりすることができます。

介護を受ける人だけでなく、介護する人の心も支える力があると信じています。

最後に

介護、障害、子育て、看取り。

人生には、自分一人では抱えきれない出来事が訪れます。

そんな時、「誰かに触れてもらうこと」「優しく触れること」が、人の心を温め、生きる力につながることがあります。

私が介護アロマを伝える理由は、技術を広めるためだけではありません。

介護する人も、される人も、その家族も、みんなが少しでも笑顔になれる社会をつくりたい。

30年前に出会ったアロマが、家族を支え、私自身を支え、そして今、新たな夢へとつながっています。

長崎から、その小さな灯を広げながら、「癒しのある介護」の未来を仲間とともに育てていきたいと思っています。

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